整形外科リハビリ奮闘記

理学療法士として整形外科疾患でのリハビリテーションについて、患者様やセラピストの悩みを解決していきます!!!!

整形リハのブログ始めました!

こんにちは。

AGeee です。これから、臨床で困った事、分からない事を投稿して知識や技術の向上を目指していきたいと思います。

整形外科のリハビリテーションで困っている患者様のお悩みも一緒に解決できたらと思います。

 

 

 

 

はじめに

整形外科のクリニックで理学療法士をしています。

 理学療法士として10年になります。回復期の病院で4年間、その後生活期の老人保健施設で4年間働きました。

そして、今の整形外科のクリニックで働き始めて2年目になります。

 

今までは年齢層がご高齢の方が多く、高齢者を中心にリハビリしていました。しかし、整形領域の疾患の患者様には年齢層が幅広く、小学生から90歳代までと今まで関わった事がない世代とリハビリで関わるようになりました。

 

私の整形一年目は初めて担当した疾患は変形性膝関節症です。今まで担当した事のない、肩関節周囲炎(五十肩)、橈骨遠位端骨折、前十字靭帯損傷、反復性肩関節脱臼術後など一年間が初めて担当する症例が多く、とても悩みました。

今でも未だ日々悩んでいます。。。

 

しかし、先輩の理学療法士にご指導頂きながら日々を奮闘しています。そして、自分なりのペースで整形領域の知識を少しずつ深めていければと思います。

 

私は自分の考えを伝える事が苦手であるため、アウトプットする事で伝える能力が改善できたらと思います。

 

整形外科クリニックで働くと変形性膝関節症の患者様を多く担当します。

初めての投稿は変形性膝関節症について書こうと思います。

 

 

変形性膝関節症(osteoarthritis of the knee)とは 

変形性膝関節症は健康寿命を短縮させる重大な生活習慣病です。東京大学22世紀医療センターによるResearch osteoarthritis against disabilityプロジェクトによおけるコホート研究によると、膝OA推定有病者は、無症候性で2,400万人、症状を有する者に限定しても約800万人と推計され、高齢者において非常に高い有病率であることが明らかとなっています。

*1

 

 

変形性膝関節症のレントゲンの病期分類

変形性膝関節症の進行度

関節裂隙の狭小化の程度

その他変形性変化を統合して6段階に分類されています。

 

 

 

グレード3未満の方

 多少関節軟骨が削られたとしても神経、血管がない為痛みは生じないはずです。

痛みの原因としては  

 

膝関節の不安定性に起因している疼痛

 

半月板周辺組織に由来する疼痛

滑膜炎による疼痛

膝関節周辺軟部組織に由来する疼痛

 

などが混在したものと考えます。

 

滑膜炎に対してはヒアルロン酸注射が主体となり、炎症所見は沈静化すれば運動療法により疼痛軽減が得られる可能性が高いと考えます。

 

グレード3以上の方

疼痛は軟骨下骨同士が擦れ合う為強烈な疼痛と考えます。

さらに進行する微小骨折(microfracture)に由来した疼痛や骨髄由来の疼痛も絡んできます。セラピストでは対応できず、人工関節置換術をはじめとする外科的治療以外に除痛は難しいと考えます。

 

 症例紹介

右変形性膝関節症 男性 60代

スキーが好きで、最近スキーで滑っている時に膝が痛くなり、滑れないとの事でした。

 

その方のフォームを見ると、knee in & toe outで滑っていました。方向転換するときに膝から向きをかえて滑るとの事でした。

 

スキーを休めば膝の痛みは良くなるのかと聞かれました。私は軽はずみに安静し、ストレッチと筋力強化で良くなりますと伝えました。

 

しかし、後で先輩PTから痛みの評価ができていないのに、根拠なく良くなると言うのはよくないとご指導いただきました。私は炎症所見として膝蓋跳動や熱感は評価しました。しかし、圧痛の詳細部位などをしっかり評価できていませんでした。

 

 スキーの滑り方やフォームの修正を説明しても、本人様に歩き方を急に変えるように難しいとフォーム修正の重要性を理解して頂けませんでした。

 

痛みの評価がまず大切です。

 

動作を見たときにどの組織が痛みの原因になっているか予測を立てる必要です。  

 

そして、痛みの原因組織の鑑別をしっかりする事が大切です。

 

再度痛みの部位と動作を確認し、痛みの原因となっている組織を再確認し、治療していく事が大切です。

 

 

そこで再度評価すると

 

圧痛所見をみると、大腿骨関節面や内側膝蓋支帯に内側膝蓋大腿靭帯、膝蓋下脂肪体に認められました。内側側副靭帯、膝蓋靭帯、半月板に圧痛所見は認められませんでした。外反ストレステストやMcmuraryテスト、Apleyテストを陰性でした。

 

大腿骨関節面に圧痛が認められた為MRI撮影するように説明しました。そのフォームを続けていると、骨に負担がかかり変形性膝関節症が悪化してしまう可能性が高く、スキーもできなくなってしまう。

 

安静にしていても治らない可能性もあることを評価に沿った説明ができるようになりました。

  

knee in &toe out のアライメントでの動作では膝内側の組織にどんなストレスが加わるのでしょうか。

 

膝関節の解剖学的な知識など再確認する必要があると考え以下に書きます。

 

 Knee in & toe out とは

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                運動器疾患の機能解剖学に基づく評価と解釈 下肢編 p102 より引用

Knee in

荷重時に足先は正面を向いているにもかかわらず膝が内側に入る

大腿骨頸部の過前捻が影響

 

Toe out

膝は正面を向いているにもかかわらず足先が外側に向いたまま荷重

下腿の外捻が影響

 

いずれのアライメントでも

下腿外旋と膝蓋骨外方偏移のストレスが生じます。

 

下腿外旋によるストレスによる影響

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   運動器疾患の機能解剖学に基づく評価と解釈 下肢編 p91 より引用

 

膝関節内側組織に関わるストレスには

内側側副靭帯への伸張ストレス

 鷲足の伸張ストレス、腱症と停止腱間の摩擦(friction)

 荷重下での下腿外旋ストレスにより内側半月板への圧迫ストレス

 荷重での膝蓋大腿関節、脛骨大腿関節での関節面での圧迫ストレス

※膝関節の角度で関節面の接触する面が変化する為どの角度でどの辺りの関節面が 接触しているか考える必要あり

 

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改訂第2版  関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション下肢 より引用p179

 

→スキーの方向転換時の関節角度は膝屈曲60度から90度の間で考えると、ピンクから赤色の関節面での接触していると考えられ、痛みの範囲を想定できます。

 

膝蓋骨が外方変移によるストレス

内側膝蓋大腿靭帯、内側膝蓋脛骨靭帯の伸張ストレス

 

膝蓋下脂肪体の挟み込み(impingemet)

 

膝関節屈曲位の荷重下で膝関節屈曲位を制動するために大腿四頭筋、膝蓋腱、膝蓋靭帯での伸張ストレス

 

など他の組織へのストレスもあると思います。

 

以上の事を配慮し圧痛評価する必要があります。

 

 圧痛とは

発痛部位を探り特定する方法として、痛みを誘発することが行われる。圧刺激に対して痛みが敏感である領域をtender pintといい、圧刺激を加えることで痛みが周囲の領域に誘発される転をtrigger point、日本語では圧痛点といいます。

 

急性疼痛の場合には傷害部位と圧痛点が一致することが多い。

 

慢性疼痛の場合には傷害部位周辺にも圧痛点が生じることがある。皮下部に硬い結節を触れ、これは硬結であり、結合組織の増殖である。この硬結部位と圧痛点は一致することが多いと言われています。

 

関節面で圧痛がある場合で、MRI撮影で骨の炎症所見の有無を確認する必要があると考える為医師に相談する必要があります。

 

*2

 

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改訂第2版  関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション下肢 より引用p114

膝内側で圧痛のとる場所(上図)

①膝蓋靭帯

②膝蓋下脂肪体

③内側半月板

④鷲足

⑩内側膝蓋支帯(横・縦走線維)

⑰内側側副靭帯内側側副靭帯での起始、停止部や実質部を分けて

 

その他

膝関節大腿骨面の関節面(膝屈曲位にて)

 

などの圧痛を評価する必要があります。

 

圧痛評価の注意点

圧痛評価の注意点として、各組織において疼痛の感度が異なります(以下の図を参照)。膝蓋下脂肪体は感度が高く、半月板は感度は低くなります。そのため、指圧の強さも注意しないと患者様に痛みを強く感じさせてしまう可能性があり、信頼関係も構築できないと考えます。

 

各組織の痛みの感度

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         運動器疾患の機能解剖学に基づく評価と解釈 下肢編 p80 より引用

 

 

 

本日は最後までご覧頂きありがとうございます。

 

次回は整形外科テストで疼痛の再現性を検証し、各組織の疼痛診断ができるように知識を深めていきます。

 

 

*1: 変形性膝関節症の外来理学療法と運動機能 理学療法ジャーナル・第43巻 第9号 2009年9月 pp783-788

*2:理学療法における痛みの評価 理学療法科学 第15巻3号63-72 2000年