階段昇降と歩行時の痛みについて
こんにちは。AGeeeeです。
梅雨には未だ入っていませんが真夏のような気温の日が続いていますね。
夏に向けて、長男と同じ髪型にする為にオシャレ坊主に人生初めて挑戦しました。思ったより似合いました。妻には囚人みたいといわれましたが( ;∀;)
みなさんは夏に向けて何かチャレンジしている事はありますか。
はじめに
変形性膝関節症の評価について再度書いていこうと思います。
歩行時の痛みと階段昇降時の膝痛には痛みの原因が違う可能性があるのはご存知でしょうか。膝関節には大きく分けて膝蓋大腿関節と脛骨大腿関節と二つに分かれています。
痛みの出る関節が異なるため痛みの原因も違います。そこで、膝の痛みの原因について解説していきます。
膝関節について
膝蓋大腿関節とは膝蓋骨と大腿骨の間の関節です。
脛骨大腿関節とは 脛骨と大腿骨の間の関節です。
目で見る運動機能検査法 機能解剖と評価 P220改変
右膝を表しています。
上側の骨が大腿骨(1と2の・がある骨)です。
下側の内側が脛骨(4.と5と6の・がある骨)です。
その外側が腓骨(7の・がある骨)です。
6の脛骨粗面や7は腓骨頭は下腿の回旋の指標となるので大切です。
青枠は膝蓋骨と大腿骨との関節が膝蓋大腿関節(patello femoral joint :PFJ)です。
赤線で囲んだ大腿骨と脛骨での関節が脛骨大腿関節(Tibial femoral joint :TFJ)です。
動作観察について
動作を観察する上で理学療法士は三方向から観察しています。どの面でどのようなストレスが加わるか観察し、痛みの原因を考えています。
前額面(人を正面から見た面)
矢状面(人を横から見た面)
水平面(人を頭上から見た面)
運動療法のための機能解剖学的触診技術 上肢 P3引用
階段昇降時の痛み
階段昇降での膝痛の痛みは多くは膝蓋大腿関節の痛みが原因となりやすいです。
階段昇降は矢状面でのトラブルが原因となり易いです。
膝を曲げた状態で支える必要がある為荷重と足が踏ん張る力が必要となります。その二つの力が膝蓋大腿関節の圧迫ストレスとなり膝痛の原因となるからです。
膝蓋骨周りが全体的の痛み⇒関節の腫れ
膝蓋骨の下側の痛み⇒膝蓋靭帯、膝蓋下脂肪体の痛み
などの膝蓋大腿関節での痛みが原因かもしれません。
特に階段を降りる時に膝痛がある方はAKPS(anterior knee pain syndrome)=
膝前面痛かもしれません。AKPSは膝蓋大腿関節における不適合性に起因するそうです。
・女性の方
・座っている時、立っている時にも膝前面に痛みが出やすい方
・立位の時に膝蓋骨が内側を向いている方
などの項目が当てはまる方はAKPSの可能性があるかもしれません。
階段昇降でknee in & toe outが膝蓋大腿関節にどのようなストレスを与えるか説明していきます。そこで大切な指標がQ-angleにります。
Q-angle
膝蓋骨中央点(青点)より上前腸骨棘(黄色点)および脛骨粗面(黒点)に引いた線のなす角になります。上前腸骨棘はベルトを着ける当たりの骨盤の出っ張りの部分です。
整形外科運動療法ナビゲーション 下肢 改訂第2版P147引用
健常成人では平均13~15度ですがknee in & toe outとなると角度が増大し、膝蓋骨を外側に引っ張る力が強くなります。
Q-angleが増大すると膝蓋骨が外側に引っ張られる力(赤丸①の力)が増大します。
整形外科運動療法ナビゲーション 下肢 改訂第2版P132 改変
膝蓋骨の内側の組織(内側膝蓋大腿靭帯、内側膝蓋脛骨靭帯)が伸張される為痛みが生じやすくなります。
階段昇降時に正常な膝蓋骨の動く範囲が外側にずれる為膝蓋骨が大腿骨に当たり易くなり、圧縮力が増大し痛みが出易くなります。
ここで問題です。
右図と左図で膝痛が出やすい降り方はどちらだと思いますか。
整形外科運動療法ナビゲーション 下肢 改訂第2版P113引用
正解は右図です。右側の降り方では重心線が膝から離れいる為より大きな圧縮力が膝にかかります。一方、左側の図は重心線が膝に近い所を通るので膝にかかる圧縮力が少なくなります。
実際に膝痛がある方は左図のような降り方を指導しています。
歩行時の痛み
歩行時に膝痛がある方は前額面上、水平面上での膝関節のトラブルがあると言えます。歩く時は荷重は階段昇降ほどかかりません。脛骨大腿関節での圧縮力や捻じれるストレスが痛みの原因と考えます。
脛骨大腿関節の内側の痛み⇒鵞足炎、内側側副靱帯などの痛み
脛骨大腿関節の外側の痛み⇒腸脛靭帯炎、外側側副靱帯などの痛み
膝関節の奥の痛みでは前十字靭帯、後十字靭帯や半月板などの痛み
を評価する必要があります。
問診で歩行時と階段昇降時どちらかに痛みが限局している場合、痛みの出る場所や圧痛
のとるべき箇所を変える必要があると考えます。
歩行時と階段昇降時に両方で膝痛を訴える方も多い為矢状面、前額面での動きを観察する必要が有ります。
圧痛の取る場所など詳しく知りたい方は第1回目の投稿をご覧ください。
膝がknee in & toe outでは歩行でも脛骨大腿関節にどんなストレスを与えるか説明していきます。
整形外科運動療法ナビゲーション 下肢 改訂第2版P132 改変
②脛骨が外側に捻じれます(脛骨外旋)
③大腿骨と脛骨の内側が離れていきます(膝外反)
④大腿骨が内側に捻じれます(大腿骨内旋)
②と④のストレスで水平面での捻じれるストレス
脛骨外旋ストレスで
⇒鵞足、内側側副靭帯や前十字靭帯などに伸張ストレス
③の前額面でのストレス
外反膝ストレスで
⇒内側側副靭帯に伸張ストレス
⇒脛骨大腿関節の外側半月板に圧縮ストレス
日本人の変形性膝関節症の方の場合はO脚(内反膝)の方が多いです。そのため、O脚で脛骨は内側に捻じれます(下腿内旋)。
膝の状態がX脚かO脚どちらかを観察する事で痛みの出やすい箇所が変わります。そのため、予測しながら評価ができるようにります。
スクワッティングテストの注意点
①スクワッティングテストの注意点の真っ直ぐ膝を正面(股関節内外旋中間位))に出す。
②脛骨回旋の程度を評価
スクワッティングテストについては第2回の投稿をご覧ください。
先輩PTからご指導
knee in & toe outというのは日本独自の表記と言われています。
Knee in& toe outでも大腿骨に対して脛骨粗面が内旋していればneutralでの運動になっているかもしれません。大腿骨に対しての脛骨の回旋をしっかり評価する必要があると教えて頂きました。
Q-angleが分かるように線を引いてみました。写真の見え方かもしれませんが左図の方がQ-angleが大きくなっているように見えます。
足部の位置は同じでも
左側の図は膝が正面(股関節が中間位)でスクワットできています。下腿の外旋ストレスが加わっています。
右側の図は膝が外側(股関節外旋位)になってしまい、大腿骨に対して脛骨が内旋しているように見えます。そのため、Knee in& toe outでも膝内反(①の反対の力)下腿外旋(②の反対の力)ストレスが加わります。
整形外科運動療法ナビゲーション 下肢 改訂第2版P132 改変
大腿骨に対して脛骨粗面がどの程度回旋しているか評価する必要があります。
大腿骨顆を結んだ線(赤線)に対して、脛骨粗面(青線)がどの程度回旋しているか評価していこうと考えました。
最後に
階段昇降と歩行の痛みについてご理解いただけたでしょうか。
knee in & toe outであると膝痛が出やすいと考えます。膝はknee in & toe out であるかチェックしてみてください。