膝痛改善の運動
こんにちは。AGeeeeです。
私が住んでいる地域は先週梅雨入りしました。私にとって湿っぽい季節であまり好きではありません。しかし、私の畑の野菜にとっては恵の雨です。立ち場が変われば物の見方も変わりますね。
はじめに
前回に続き、膝痛軽減のための運動を投稿していきます。
運動は筋肉を鍛えるという事です。膝痛、変形性膝関節症の方では膝痛がない方と比較して股関節、膝関節周囲の筋力が低下しています。具体的な筋肉としては内側広筋、中殿筋などの筋力低下が多くみられます。そこで、今回は内側広筋、中殿筋を鍛える運動をご紹介していきます。
また、運動をする時にただやっていればいいわけではありません。鍛えている筋肉を意識して運動すると効果が上がると言われています。そこで、筋肉について知識を深め、効率良く筋肉が鍛えられるようになればと思います。
内側広筋(vastus medialis:VM)
テレビで変形性膝関節症の運動には大腿四頭筋を鍛えると良いと言われていますが正にその通りだと思います。大腿四頭筋は内側広筋、外側広筋、中間広筋、大腿直筋の四つの筋肉から構成されています。内側広筋は膝蓋腱や内側膝蓋支帯となり脛骨粗面に付着します。
膝痛の方で内側広筋が筋力低下している方は多くみられます。その中でも膝蓋骨の動き、下腿の動きにも関与がある内側広筋斜走線維(vastus medialis obliquus:VMO)が大切になります。解剖学的特徴として内側広筋の斜走線維は大内転筋から始まり、内側膝蓋支帯や膝蓋骨に付着している事が重要となります。
プロメテウス解剖学アトラス第3版p487(左図)
整形外科運動療法ナビデーション下肢改定第2版P181(右図)
内側広筋の働き
膝関節の最終伸展時に働きます。
下腿を内側に回します(下腿内旋)。
立っている時、歩行時、階段昇降時などのknee in &toe outを抑制します。
内側広筋斜走線維に働き
膝蓋骨を内側に引き寄せ、膝蓋骨の外方偏移の抑制をしています。
Q-angleの減少を担っています。
歩行と内側広筋の働き
歩行時に内側広筋は踵が着いた時(IC)から足裏全体が地面につき(LR)、片脚立ちになる始め頃(MStの初期)に働きます。
膝が過度に曲がらないように衝撃緩衝し、膝関節が適正な角度になるようにコントロールしています。
観察による歩行分析p67
以上のことから内側広筋が筋力低下していると膝関節のコントロールが不十分となり痛みが出てしまうと考えます。
内側広筋についてご理解いただけた所で運動をご紹介していきます。
内側広筋を鍛える運動
用意する物は丸めたバスタオルです。
セッティング(タオルを膝の下に入れて床に押し付ける運動)
私はハムストリングスが硬い為骨盤が若干後ろに倒れてしまいます( ;∀;)
解説
長座位で実施するメリットがあります。
①視覚的に運動が見える為しっかり運動ができているか確認できます。
②股関節屈曲位となるので大腿直筋が緩み、二関節筋が働きにくくなります。
③片方の足は脚を広げる事で骨盤が後ろに倒れ(骨盤後傾)にくくなります。骨盤後傾してしまうと股関節が伸展してしまい、大腿直筋が働き易くなり、大内転筋が緩んでしまう為内側広筋が働きにくくなります。
④股関節屈曲位となり大内転筋が伸張され内側広筋が働き易くなります。
⑤足関節背屈も同時にするとふくらはぎ(下腿三頭筋)のストレッチになります。
⑥ 膝蓋骨の内側に力が入っているか意識しながら運動します。
椅子に座って実施する場合
膝を伸ばした時に膝裏の筋が椅子に当たらない程度に椅子に腰掛けます。
丸めたタオルを膝の間に挟みます。
骨盤が後ろに倒れないようにします。
タオルを膝で挟むように力を入れながら膝をしっかり最後まで伸ばします。
最後まで膝を伸ばした所で止めて、つま先が自分の方を向くように反らします。
そこからゆっくり足を下していきます。
解説
座る位置は膝を伸ばした時にハムストリングスの筋が当たって痛くないようにするためです。
骨盤が後ろに倒れてしまうと長座位の注意点と同じように大腿直筋が働き易くなり、大内転筋が緩んでしまい内側広筋が働きにくくなるためです。
膝の間にタオルを挟むと股関節内転し、大内転筋が働き、内側広筋も働き易くなります。
内側広筋は膝の最終伸展で働く為最後まで膝を伸ばす必要があります。
伸びた状態で5秒間とめると持続的に筋肉が働く為運動負荷が高くなります。
膝が伸びた状態から膝をゆっくり下ろす方が運動負荷が高くなる為ゆっくり下ろします。
しっかり運動ができていないケース
体が後ろに反ってる
骨盤が後ろに倒れている
中殿筋(gluteus medius)
中殿筋は股関節の側面から後面についている筋肉です。歩行時に股関節で体重を支えるためにとても大切な筋肉です。 特に中殿筋後部線維は股関節伸展、外転、外旋に作用する為knee inの抑制に関与しています。
プロメテウス解剖学アトラス第3版p512(左図)
運動療法のための機能解剖学的触診技術下肢・体幹改定第2版P155(右図)
歩行と中殿筋の働き
中殿筋は歩行時には踵が着いたとき(IC)から足裏が全部付き(LR)、片脚立ちの終る手前=もう片方の足が地面につく前(MSt)まで働きます。
特に中殿筋後部線維の筋力低下で股関節屈曲、内旋しknee inが助長されます。
中殿筋が筋力低下すると立位や歩行時に股関節内転し、膝に側方動揺のストレスがかかり易くなり、膝へのストレスが増大します。
観察による歩行分析p76
中殿筋を鍛える運動
①下側の足は曲げます。
②横向きから少しうつ伏せに近くなるような横向きで行います。
③上側の脚を挙げる高さは床と平衡あるいは、少し上げる程度で大丈夫です。
④小指側が天井を向くようにあげます。
⑤大腿部の横からお尻側の筋肉が働いているか確認しながら実施してください。
解説
下側の足を曲げる事で運動時の骨盤を固定でき安定して運動ができます。
脚を斜め後ろに挙げる事(股関節伸展、外転)が中殿筋後部線維を鍛えるために良いです。
脚を前側で上げてしまうと中殿筋よりも大腿筋膜張筋という筋肉が働いてしまう為脚を前側で上げないように注意してください。
小指ではなく、親指が天井を向いた状態で上げてしまうと、大腿直筋や腸腰筋などの筋肉が働いてしまう為中殿筋の運動ではない為注意してください。
疲れてくると脚が徐々に前側になっている方、横向きではなくお臍が天井を向いた仰向けに近い状態であげている方はしっかりとした運動ができていません。
しっかり運動ができていないケース
親指が天井を向いている
脚を前方に上げている
運動回数
運動回数は最低15から20回を3セット実施してください。
運動中に息は止めないように数を数えながら運動をやってみてください。
筋肉痛が出た場合は筋肉痛が回復するまでの3日間は運動を中止してください。
最後に
内側広筋と中殿筋について知識が深まり、しっかりとした運動ができれば膝痛も軽減するかもしれません。そのため、中殿筋の筋力がしっかりあるかどうか認識する事が大切だと考えます。そこで、次回は中殿筋の筋力のセルフチェック法をご紹介したいと思います。
本日も最後までご覧いただきありがとうございました。