中臀筋の筋力セルフチェック法など
こんにちは、AGeeeeです。
股関節の筋力を始め沢山のセルフチェックできる項目を書いたのでぜひ参考にして頂ければと思います。
はじめに
前回の投稿の続きで中臀筋の筋力のセルフチェック方法をご紹介します。更に股関節、膝関節の硬さのセルフチェック法をご紹介していきます。
筋力評価について
理学療法士は徒手筋力テスト(MMT:manual muscle test)で筋力を測定します。
6段階評価でなります。
5が最も筋力が良く、0に近づくにつれて筋力低下しています。
3以上の段階で+やーと表現する事があります。+は上の段階に近い筋力、-は下の段階に近い筋力という表現になります。
例えば筋力が5よりの4であれば4+と表現します。
この評価は検査者の主観で判定するため、理学療法士で段階の抵抗をきめて徒手抵抗をかける必要があります。
5 normal
強い抵抗を加えても、運動域全体にわたって動かせる
4 good
抵抗を加えても、運動域全体にわったて動かせる
3 fair
抵抗を加えなければ重力に抗して、運動域全体にわたって動かせる
2 poor
重力を除去すれば、運動域全体にわたって動かせる
1 trace
筋の収縮がわずかに確認されるだけで、関節運動は起こらない
0 zero
筋の収縮は全く見られない
まず3 fairの段階の評価が大切になります。それが前回紹介した運動に近いです。
筋力測定する前に運動域を確認する為にどれぐらい脚が上がるか確認してください。
代償動作について注意が必要です。
高く上げようとすると骨盤や体幹を曲げて代償しやすいです。そのため、骨盤、体幹が動かない程度で脚が上がる範囲を確認してください。
これができれば4、5段階の評価に移行します。4、5段階の方法は3段階の方法に検査者が抵抗を加えて脚を上げた状態で保てるか確認します。しかし、検査者が必要な場合では自分一人では確認できません。そこで、姿勢や歩きを確認して、中臀筋の筋力があるかどうか確認します。
片脚立ちの姿勢
片脚立ちの姿勢を確認します。
鏡がある方は鏡の前に立って確認してみてください。
筋力に問題がない方は左片脚立ちの姿勢を後ろから見ると左足、左股関節、左肩が一直線上にあります(図a)。
関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーションP42引用
中臀筋の筋力低下がある方
トレンデレンブルグ徴候とデュシェンヌ現象です。その二つの特徴や現象は歩きの中で認められる現象です。自分で確認しやすいように歩きの同じ時期である片足で支える時に認められる現象である為片脚立ちで確認します。
トレンデレンブルグ徴候
歩行の片脚立ちの時に支えている脚の反対側に骨盤が傾く場合が陽性です(図b)。陽性の方は股関節の外転筋力の低下があると考えます。
デュシェンヌ現象
片脚立ちの際に支えている足の反対側に骨盤が傾くのを予防するために、代償的に体幹を支えている脚側に傾けて平衡を保とうとする現象です(図c)。
デュシェンヌ現象の場合は中臀筋筋力以外に
痛み、股関節の内転筋の可動域制限、脚長差、股関節の骨形態異常による要因なども関与するため、筋力以外の要因が影響していないか確認が必要です。
脚長差がある場合は短い脚、股関節の内転制限がある脚の方向に体幹が傾きます。
股関節内転制限がある場合はトレンデレンブルグ徴候は出現せず、必ずデュシェンヌ現象が出現します。
歩行になると下図の写真のような歩行になります。
右脚が支持している筋力低下している脚になります。
トレンデレンブルグ歩行(左図)
デュシェンヌ歩行(右図)
関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーションP27引用
脚長差の確認方法
骨盤(上前腸骨棘)の位置を左右対象にした状態で足を延ばし、内くるぶしを合わせます。つま先が真っ直ぐ天井をむくようにします。
その状態で踵の位置が左右差を確認します。
判定方法
左右対象→脚長差なし
どちらか踵の位置が短い→脚長差あり
上前腸骨棘とは
運動療法のための機能解剖学的触診技術 改定第2版p2,6引用
上前腸骨棘(anterior superior iliac spine:ASIS )とは骨盤の前方に突出した骨隆起の事です。手掌で大まかに位置を探します。
運動療法のための機能解剖学的触診技術 改定第2版p7引用
骨盤の下側から触ると突出した突起が上前腸骨棘になります。ちなみに、上前腸骨棘から3横指下に下がった所が下前腸骨棘(anterior inferior iliac spine:AIIS )といいます。
アリス徴候
アリス徴候を確認する事で股関節由来の脚長差があるか確認します。
この検査は先天性股関節脱臼の有無を検査する方法です。
目でみる運動機能検査法P210引用
仰向けで両足の位置を左右対象にして膝を90度に曲げます。そこで膝の高さを確認します。
膝の高さが違う→陽性(脚長差あり)⇒低い脚の股関節に問題あり
膝の高さに左右なし→陰性(脚長差なし)
脚長差がある場合は脚長差の原因を確認していきます。
①骨盤の位置が正しく合っているか確認してください。
骨盤の位置が左右対象でないと脚長差が生じてしまいます。
②脚長差は筋肉の硬さで膝や股関節が伸びくくなっている場合が考えられます。
膝関節の硬さチェック
①膝下と床の間に指が何本入るか。
②入る本数に左右差がないかを確認します。
リモコンが膝下に簡単に入る方は膝関節が硬いと判断できます。
リモコンが膝下にスーッと入ってしまう場合は要注意です。
膝下が2cm以上床から浮いている状態です。
さらに危ないのは、500mLのペットボトルが入る場合は膝下が5cm以上床から浮いており、危険度MAXです。
私は指2横指(2cmくらい)膝下に空間があり、リモコンも入り、膝関節が硬い状態でした。膝に痛みのない方でも結構膝関節が硬い方は多くいます。
写真のとおり、骨盤が後傾してしまう為膝関節の筋肉の硬さが有ります。
O脚の左右差セルフチェック法
O脚の程度が左右差があると脚長差の原因となります。O脚も著明に左右差がなければ足関節、股関節、膝関節の関節の遊びで緩衝され、脚長差を生じないと考えます。
左右の上前腸骨棘の中点と内くるぶしを結んだ線
膝のお皿の下側までの距離に左右差があるかどうかでO脚の程度に左右差があるか確認します。見にくいですが、青線と緑線に左右差がないか確認します。
私の場合は若干緑線の方が長く見える為右側の方がO脚ですが脚長差は有りませんでした。
立つと荷重がかかるとO脚が強くなる可能性が高い為立った姿勢での隙間が変わるか確認が必要です。
この方法は私が考えた方法である為正しいかどうかは分かりません。どの程度が正常な距離か分かりませんが左右差があれば脚長差に関係している可能性が有ります。
私も右脚がO脚なんだと知る良い機会になりました。私は運動後に右膝が痛くなる事がありますがO脚が原因かもしれません。
股関節が硬い場合の確認方法
股関節と膝関節も伸びなくなっている可能性があります。どちらに制限があるか確認する方法はトーマステストで確認します。
トーマステスト
確認する脚と反対側の脚(右脚)を抱えます。その時の確認側(左脚)の膝下が床からより離れるかどうか確認します。
トーマステスト陽性
膝下の隙間が広がる場合は股関節が硬いと判断します。
トーマステスト陰性
抱えても膝下の空間が変わらなければ膝だけ変わらない場合は
股関節は問題なく膝関節が硬いと判断します。
股関節内転可動域の確認
歩行の時に近い状態である。歩く時に必要な股関節の内転角度は約4°必要とされています。私達理学療法士は内転可動域は仰向けの状態で測定します。しかし、立位では外転筋の筋内圧が臥床して確認した内転角度より低下すると考えられます。
仰向けでの股関節内転角度
骨盤を固定する為に左脚を組む。 右脚を交差させるように閉じる(内転する)。
内転角度は両側の上前腸骨棘を結んだ線=赤線
赤線に垂直な青線と太ももの線とのなす角=黒の角度を見ます。
立位での股関節内転角度
上前腸骨棘を手を当て、左脚を前方に出し、骨盤を固定します。
その後、右脚を交差させるように閉じます。仰向けの時の角度と同様の方法で内転角度をみます。
角度計を使わないと角度があるかどうか実際には分かりませんが、スクリーニングとして閉じる程度は確認できます。
骨盤が動くと股関節だけの内転角度が分かりません。そのため、上前腸骨棘を触り骨盤が動いていないか指で確認しながら足を交差させていきます。
私の指標としては交差した後ろ脚が前脚の後まで行けば股関節内転4度以上あると考えます。
おわりに
中臀筋の筋力を始め、股関節や膝関節の硬さなどのセルフチェックできましたでしょうか。自分の身体について知る事は治療の第一歩ではないでしょうか。私も今回の記事を書く中で改めて自分の体の硬さを知る事ができました。身体の硬さを解消するためにお風呂上がりにストレッチは欠かさずやっています。年齢を重ねると柔軟性がなくなり、怪我や痛みが出やすくなるからです。次回は私が実践している股関節、膝関節のストレッチ方法をご紹介していきます。
本日も最後までご覧頂きありがとうございます。